チョコチップ・クッキー

2017年09月29日

 朝晩は肌寒い陽気になって来ましたが、まだまだ日中は強い日差しが注いでいます。そんな中、子どもたちは運動会の練習に取り組んでいます。どうぞ、明日の運動会は、子どもたちの練習の成果をゆっくりとご覧ください。

 さて、先日、久しぶりに6年生の算数の授業を見させてもらいました。6年生は運動会の準備で全体の責任を担っていますから、さぞ疲れていることと思います。でも、授業中は、そんな様子を少しも見せずに、どの子も夢中になっている姿が印象的でした。さすが6年生です。今回は、その様子についてお伝えします。

 6年生は、今、「内包量」という単元を学習中です。検定教科書では、「速さ」しか扱っていませんが、明星では、速さ以外に密度、含有率、濃度等を扱っています。「密度」は、5年生の理科で概念を学習し、計算などの仕組みは6年生算数で扱うことになっています。こうした教科をこえたカリキュラム構成が他校には類を見ない、明星ならではのものではないかと思います。

 「密度」の授業では、私が個人的に所有している「金塊」を教材にしています。そう、本物の金なのかどうかを子どもたちに判定してもらうわけです。勿論、私は家宝として今でも金であると信じていますがね…。

 含有率は、色々な教材を扱います。金を含んだ仮想の岩石、チョコレート(ビターとミルク)、チョコチップクッキー等々。どれも子どもたちがやってみたくなる教材ですし、それぞれ教材としての長所・短所があります。今年は、チョコチップクッキーで進めていました。  「このチョコチップクッキーには、どれくらいのチョコが含まれているかな?」 この課題に対して、子どもたちは、色々な反応を見せていきます。

「どうするの?」 「クッキー、崩すの?」

「え?もったいない!食べたいよー」

 こんな会話の中、授業は進んでいきます。ワイワイ・ガヤガヤ楽しそうな声が続きます。この作業は、全員が各自で行う事に意味があります。次は、数値を出す段階です。

 「チョコの重さとクッキーの重さが分かればいいんじゃない?」。

 「でもさ、クッキーとかチョコって、どれも同じ重さなの?」

  子どもたちは、均等性のことを気にしている様子です。平均の学習を済ませていますから、とりあえず一人ひとりがやってみれば良いということになり、計算に入ります。

 「0.2g/gだった。」

  「2.5g/gだった。」

  「え?なんか、それおかしくない?」

 「だって、チョコチップクッキー1gの中にチョコが2.5g入っているはずないよね。」

 「それじゃあ、チョコチップクッキーじゃなくてただのチョコだ。」

 素晴らしい気づきです。チョコの重さ÷チョコチップクッキー(全体)なのですから、言われてみれば当たり前なのですが、全体量とチョコの関係性をよく捉えているのに驚きます。

 「濃度」は、スポーツ飲料を教材にしていました。  「スポーツ飲料の濃さをどうやってくらべれば良いだろうか?」この課題に対して、子どもたちの声が弾みます。

 「見た目!」(若干、白濁したような水溶液なので、色味で分かるということ)

 「%?」

 「水1gあたりの粉の量?」

 「粉1gあたりに必要な水の量?」

 「飲む!」(味で分かる!)

 「水100gに粉を7g混ぜたら、スポーツ飲料は107gじゃない?」

 こうした意見も発表されていますが、どうしても生活経験もあり、子どもたちは、スポーツ飲料を作る場面を想定しているようです。水(溶媒)と粉(溶質)の2量の関係で捉えようとしているわけです。濃度は、「粉÷スポーツ飲料」でなければなりません。

  

・水100gの中に解けている粉の量(重さ)

  

・スポーツ飲料107gの中に溶けている粉の量(重さ)

 言葉としても、この様な表現が出てきているのですが、子どもたちにすれば、どちらも正しい様に思えているので、子どもたちの思考がパタッと停止しました。さて、どうなるのでしょうか?難しいところです。子どもたちも教師も色々な思いをめぐらせます。そこで、教師は、「クッキー」というヒントを投げかけます。

  「クッキーの時は、チョコ÷チョコチップクッキー(全体)だった。」

  「スポーツ飲料も 粉÷できあがり ?」

  「水100gに粉7gを溶かしたら、できあがり107gの中に粉がどれだけ含まれて いるのかっていうことだ!」 

 教室の少し重かった空気がまた、もとのさわやかな風に包まれました。  無駄に思えるかもしれないクッキー崩しの作業が、理屈では納得できない子どもたちの理解をつないだ場面でした。

 明星学園では、高学年の算数といえども子どもたちの感覚を大切にしています。そうした経験や体験に根ざした概念や法則の理解が本質的な学びだと考えているからです。今回は、正にその一コマを見せてもらいました。

校長だより
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