アーサー・ビナードさんが明星学園にやって来た!!小中学生への特別授業

2017年06月07日

2014年の公開研究会の全体会の講師として私たちはアーサー・ビナードさんを明星学園にお招きしました。そのとき会場で彼の講演を聞き、衝撃を受けた中学生がいました。「この話は明星生にこそ聞かせないともったいない! ぜひまた来てください!」その生徒は、その場で何度も訴えていたそうです。もちろんそんな思いを持ったのは彼女だけではありませんでした。今回、「へいわのたねをさがす明星学園の会」が中心となり、アーサー・ビナードさんの特別授業が6月4日の日曜日、実現しました。集まったのは小学校4年生から中学校3年生までの36人です。

写真絵本『さがしています』、宮沢賢治の『雨ニモ負ケズ』。「味噌と少しの野菜」、「少し」ってどのくらいの量なのだろう? 「ちがう言葉に翻訳しようとすると、そこにこめられていた深い意味が見えてくるんだ。」「小さな茅葺の小屋」、「小さな」ってどのくらいの大きさだろう? 人によって、時代によって、地域によって異なる感覚。本来、揺れているはずの言葉を固定的に決めつけて考えてしまっている自分にハッとさせられます。「駆け付ける」の意味とニュアンス。「駆け付け警護」、平和の問題。

東に病気の子供あれば/行って看病してやり   西に疲れた母あれば/行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば/行ってこわがらなくてもいいといい   北に喧嘩や訴訟があれば/つまらないからやめろといい

「東~・西~・南~・北~、この中にひとつだけ文法的に違うものがあるんだけどどれでしょう?」生徒がいろいろ答えていきます。一つの言葉、助詞の使い方ひとつから、詩の世界が広がっていきます。なるほどとうならされます。どうやって喧嘩をとめるか?

最後にアーサーさんが読んでくれたのは、今年3月11日に刊行された絵本『ドームがたり』。原爆ドームの立場に立って物語るときに感じる違和感。本来、特殊な一つの原子の中の原子核が分裂する現象を「原子爆弾」と命名することへの違和感。『ピカ』という言葉を使う人と『ピカドン』と言う人の違いは何か? 小学4年生と中学3年生が同じ場所で授業を受けています。知識を問うのではなく、何を感じ、いかに考えるかを問うからこそ、多様な年齢の子どもがいても不思議と違和感がありません。むしろだからこそ楽しかったとも思います。

質疑応答では、生徒から次のような質問が出ました。「日本語を覚えようと思ったきっかけは何ですか?」「絵本をつくることになったきっかけは何ですか?」「さっき、アーサーさんがぼくたちにした質問-『雨にも負けず』の、『そういうものに私はなりたい』-アーサーさんはそういう人になりたいですか?」 その一つ一つに本当に丁寧に答えていただきました。いつのまにか3時間たっぷりの授業になっていました。それだけではありません。その後一緒にお弁当を食べながら、さらにお話をさせていただいた子どもたちもたくさんいたようです。

(中学校副校長 堀内雅人)

先生ブログ
ページTOPへ