平和は創れるか?

2013年06月03日

11月17日「秋の教室」の全体講演は、明星の元父母でもあり、現在東京外国語大学総合国際学研究院教授の伊勢崎賢治さんにお願いすることになりました。講演のテーマは「平和は創れるか?」。伊勢崎さんといえば、紛争解決請負人の異名を持ち、NGO、国際連合職員として世界各地の紛争現地(東ティモールやシェラレオネなど)での紛争処理、武装解除に当たってこられた方です。

その情報をどこかで知った11年の男子生徒が、一人中学校の職員室までやってきて、伊勢崎さんの話を聞くのがとても楽しみなんだといった話をしていきました。彼の9年の時の卒論のテーマは「日本は社会福祉国家になるべきか」。彼は4月の当初から、こうすれば世界は平和になる、人々は幸せになると自分の考えを熱く語っていました。しかし語れば語るほど異論や疑問が彼のもとに返ってきます。それはそれで中身の濃い学びです。でも当時の彼は素直にそれらを受け入れられず、しだいに他人の意見に耳を閉ざすようになっていきました。でも彼は彼なりに思考を深めていたのでしょう。平和とはそんなに単純なものではない。彼の論文は当初の、ある意味上から目線の自信にみなぎった主張から一変しました。それを私は人間としての彼の成長だと感じながら、一方で卒研発表会の後も、彼には自らのテーマを持ち続け、さらに深めていってほしいと願っていました。本当に重要な疑問ほど、明快な答えはみつかりません。むしろそのような大きな疑問を心の中に抱え続けることができる力こそ人間としての大きさ、強さなのではないかと思います。そのような意味で彼の言葉は私にとってとてもうれしいものでした。

伊勢崎さんにはもう一つの顔があります。ジャズトランペッターとしての顔です。先週、吉祥寺のジャズ喫茶でライブがありました。私も同僚の先生とご挨拶を兼ねて伺いました。死が日常にある世界とジャズ。彼の中でどのようにつながっているのでしょうか。最近、伊勢崎さんの著書『さよなら紛争(14歳の世渡り術)』を読みました。中学生向けにわかりやすく書かれていますが、非常に考えさせられるものでした。次は講談社現代新書の『武装解除・紛争屋が見た世界』を読んでみようと思っています。

(副校長 堀内)

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