安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)の特別授業

2018年02月12日

2月7日(水)、7年(中1)9年(中3)の特別授業のためにフォトジャーナリストとして活躍されている安田菜津紀さんが、来校してくださいました。たまたま本屋さんで『写真で伝える仕事』という安田さんの本に出会い、安田さんの撮る人々の写真に強く惹きつけられました。安田さんはどうしてこういう写真を撮ることができるのだろう。安田さんが写真を通して伝えたいと想っていることをぜひ明星生と一緒に聞きたいと、企画したのがこの時間です。

世界のあちこちを飛び回っている安田さんですが、今回は、安田さんがこの仕事を選ぶきっかけになったカンボジアの写真と、ご家族のご縁で通い続けている陸前高田の写真を中心にお話をしてくださいました。

安田さんが大切な家族を立て続けに亡くし、家族って何だろうともやもやした思いを抱えていた高校生の時に出会ったのが、“トラフィックチルドレン”と呼ばれるカンボジアの子どもたちでした。自分自身に値段がつけられ、暴力をふるわれるなど、たくさん傷ついてきたのに、気にかけるのは自分のことではなく家族のこと。そういう強さとやさしさを目の当たりにし、何か「返したい」と思った、それがフォトジャーナリストを目指した原点だったそうです。

安田さんの写真に心惹かれるのは、何度も通い続けることで人とのつながりを大事にするところにあるのでしょう。カンボジアにも年に1~2回は訪ねているそうで、そこで出会ったココナッツおじさんが安田さんに向けた笑顔の1枚が、個人的には強く心に残りました。両足を地雷で失ってしまったココナッツおじさんが、生きている意味を失いそうになった時に踏みとどまったのは、愛する奥さんの存在だったとか。また、2011年4月に気仙小学校に入学した2人の新入生を囲んで撮られた記念写真。先生方も被災者でありながら、新入生を迎えることができるのは希望のあかしだと、新入生の2人を迎えるために奔走していたそうです。そんな2人の成長を節目ごとに追いかけている安田さんの写真から、温かいものが伝わってきました。安田さんの写真に心惹かれるのは、戦争や震災が起きた所でも悲しいだけではない「日常」があるということを思い起こさせてくれるからではないでしょうか。しかも、陸前高田に通い続けている安田さんは、なんと、船の免許もとったそうです。すごい!

「とても感動しました!安田さんは、あとから自分が撮った写真を見返して、どんなことを思いますか?」「カンボジアに行くことに不安や恐怖はなかったのですか?」「傷ついた子や見知らぬ子の心の壁を、どう取り払って笑顔にしているのですか?」「もし震災などに遭遇したら、写真を撮ることを優先するのですか?助けることを優先するのですか?」などなど。7・9年生からの質問は尽きることなく、あっという間に質疑応答の時間も過ぎていき、最後はじゃんけんでという一幕も。

「写真ができることは最後の一握りだけ」とお話になりました。写真を通して語ってくれる人たちの「日常」が届けてくれる「一握り」は、私たちの心をふるわせる大きな力を持っているのだなぁと実感しました。 「大切な人の大切な人は、自分にとっても大切な人」、「ひとりの人間が全部の役割はできない。けれども、それぞれができることをちょっとずつ持ち寄れば、小さな力でも大きな力になる。どんな立場でも、必ず持ち寄りあえる役割があると思っている」という安田さんの言葉に大きなエールをもらったような気がします。

そんな安田さんに聞きたいこと、伝えたいことがたくさん残っていた子たちが、講演会が終わってからも安田さんの周りに集まり、安田さんを放しません。また、いつかどこかで再会できることを願っています。本当にありがとうございました。

※7・9年生からたくさんの感想が寄せられていますが、ほんの一部だけ紹介します。 ★カンボジアのお話で一番心に残ったのは、“トラフィックチルドレン”のことです。安田さんの「自分の体に値札がつくということを想像できますか?」という言葉がすごく心に刺さりました。(7年) ★私は安田さんの話を聞いて、安田さんの気持ちが写真からあふれてきて、特に震災であったあの一本松の木の意味がよくわかって、一本松を間近で見てみたくなりました。 (7年) ★ココナッツおじさんのようには足を失っていないけど、ココナッツおじさんのようには楽しめてない。あと、自分がなぜこうしたかとあまり考えていなかったので、それをこれから意識してやりたい。(7年) ★カンボジアの人々やあおい君、ふみや君は、今こうして文を書いている間にも生活しているんだなと思いました。(7年) ★一本松の写真を撮って、義理のお父さんに見せた時のお父さんの言葉を自分勝手に解釈してみたら「お母さんを震災で亡くして、そして余震でまた津波が起きた時、安田さんを続けて失くしたら」というお義父さんの気持ちだと思いました。(7年) ★足を2本失っても奥さんのために生きる。自分から守りたい人を守れる人に。そんな人に私はなりたいと思いました。そんな守りたい人を見つけることもすごく大変なことだけど、それを自然にできている人たちの凄さを感じました。(9年) ★私はまだ知ることしかできていない。自分には何ができるのか、自分で見つけたいと思います。傷ついた子どもたちが、何を残そうと、託そうとしているのか。安田さんのお話を聞かせていただいて、今の自分は本当にすることしかできていないなと思いました。ここ最近、北朝鮮の核のことや様々な報道を見たり聞いたりすると、同じような胸がしめつけられるというか、つまるような心持ち、感覚がして、何かしたい、しなければならないという責任感、使命感を感じることがあります。高校に上がってからも、その感覚、気持ちを忘れずに知って動ける高校生になりたいです。(9年) ★かわいそうとか悲しいとか、痛そう、つらそうなんて言葉はそんなかんたんに出してはいけないようなそんな話だなと深く思いました。この気持ちをどう説明すればいいかわからないと思った時、安田さんもこんな気持ちだったのかなと思った。安田さんの声がもっといろんな人に届くようにいつか私も手伝いたいなと思いました。(9年)

(7年社会科 小畑)

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